人生のほとんどの面で役に立つ能力とは?
今回は人生にとって役に立つ知識についてです。
知識と聞くと、イコール学歴だと思うかもしれません。
ですが、高学歴の人だってとんでもない間違いをすることもあります。
一方で、学歴はそこまで大したことがなくてもうまくいっている人もいます。
学校の知識が人生を決めるなら、東大に行った人はみんな人生がうまくいかなければなりません。
ですが、そんなことはありません。
では、人生がうまくいっている人の知識や知恵というものは一体何なんでしょうか。
人生の役に立つ知恵を持っている人って!?
ウォータールー大学のイゴール・グロスマンたちは、優れた論理的思考力を測るテストを作成し、それが一般的知能、教育、職業上の専門的知識とは関係なく、人生に与える影響の知識を立証しようとした。
まず、知恵の哲学的定義をいくつも分析し、思考の6原則を抽出した。
その知恵には思考の特定の側面(例えば、知的謙虚さ、不確実性と変化の認識、目前のより広い文脈と他者の視点の考慮、これらの視点/妥協の統合)が含まれ、知識の応用を可能にするという考えにまとまった。
優れた思考力を明らかにしたうえで、被験者に様々なジレンマを提示し、声に出しながら考えてもらった。
テーマは国際紛争に関する新聞記事から「アビーおばさん」という有名な人生相談コラムまで多岐にわたり、研究チームは被験者が語る内容を聴きながら、様々な属性について採点した。
以下、テストのサンプル。
アビーおばさんへ
私の夫「ラルフ」には、「ドーン」という妹と「カート」という弟がいます。両親は6年前、数カ月と置かずに亡くなりました。それ以来ドーンは、年に1度は「両親のためにお墓を買おう」と言っていました。私もそれには依存がありませんでしたが、ドーンはかなりの大金を使おうとしており、兄弟にもお金を出してほしいと思っていました。ドーンは、最近墓石のために2000ドルた貯めた、と言ってきました。
先日ドーンが電話をしてきて、自分でデザインを選び、墓碑銘を考え、墓石を注文してきた、と言うのです。義弟と夫には「それぞれの分」を払ってほしい、と。自分が勝手に墓石を注文したのは、両親の墓に意志がないことをずっと気に病んでいたからだ、と言います。
ドーンが勝手にやったことなので、兄弟は何も払わなくていいはずだ、と私は思います。でも義弟と夫がお金を払わなければ、いつまでもドーンに言われると思いますし、私も文句を言われると思います。
・知的謙虚のスコアが低かった被験者の回答
男性陣は自分の分をおそらく払うと思う。そうしないとドーンがグズグズいうと思うので。きっとみんな辛い思いをすると思うけれど、きっと男性陣が折れて、お金を払うと思う。
・投書に欠けている重要な情報に触れていて、知的謙虚さが高いと評価された回答
おそらくドーンは早くこれをやりたいと思っていたのに、他の兄弟が6年かもグズグズしていた、あるいは何もしなかったのだろう。最終的にドーンがいくら払ってほしいのか、ここからではわからない。(中略)事のいきさつが私にはわからないが、払うのが合理的だと思える。。最終的には当事者の性格によると思うが、、それは私にはわからない。
・同じように他者のの立場で理解するという観点からいうと、評価の低かった回答は、状況を1つの立場からしか見ていない
その後、兄弟姉妹の関係は悪化しただろう。義弟と夫はきっとこのまま墓石のお金を払わないことにしようとしたのだから。そうするとドーンと相談者や兄弟の間のコミュニケーションにはずれが生じてしまうのだろう。
・賢明な回答者は、登場人物を考え、もう少し深く検討している
こんなふうに親を大切にしなければいけないと思う人もいるだろうし、何もする必要はないと思う人もいるだろう。何かをしようにも、金銭的余裕がないケースもある。兄弟たちにとっては重要なことではないかもしれない。重要な事柄について、人によって意見が違うのはよくあることだ。
・知的謙虚さのスコアが高い人は、対立を解決する方法についても、より多くの可能性を考えることができる
おそらく何らかの妥協点が見出されるのではないか。例えば義弟と夫も墓石は大切だと気付き、自分たちの意思を確認せずにドーンが勝手に墓石を注文したとはいえ、お金を出すことにするかもしれない。その金額はド-ンの望むほどではないかもしれないが、いくばくかお金を出すのではないか。
このように解答は様々で、思考の原則について高度な知識は求められていません。
ただ、賢明だと判断された被験者は問題の細かい点まで検討しようという姿勢が見られます。
賢明な知恵がある人はどんな人生を送っているのか?
研究者たちは、人々が社会的葛藤に対処するためにさまざまなスキーマをどの程度使用しているかという観点から、知恵を評価した。
アメリカ人のランダムサンプルを使用して、賢明な思考ができると評価された被験者は人生のほぼすべての面で成功していた。
具体的には、人生の満足度の向上、悪影響の減少、社会的関係の改善、抑うつ的な反芻の減少、および長寿に関連していることがわかった。
また、調査の5年後も生存率はわずかに高った。
ただ、この理由ははっきりわからなかった。
そして、被験者の知能は賢明な思考のスコアとほとんど関係なく、また健康や幸福の指標にも関係がなかった。
ちょっと一言
賢明な思考ができる人はいろんな視点でものごとを見たり、可能性を考えられるのです。
だから、学校のテストでは測れない知的謙虚のスコアが高い人は、人生のあらゆる局面で色んなことを考えられるので大きくは間違わないのです。
しかも、この能力は誰でもいつからでも伸ばせます。
で、この能力を伸ばすためにはクリティカルシンキングを学ぶといいと思います。
要するに、自分が考えたことに対して批判的に考える方法です。
これができれば、人生のほとんどの場面で他の人より正しい判断ができるようになります。
興味がある方は勉強してみてください。
参考文献
Wisdom in Context
A Route to Well-being: Intelligence vs. Wise Reasoning