どんなに知能が高くても自分の期待や信念に反しているデータを読むと間違って判断してしまう!?

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今回は政治的信念で簡単な問題でも正しく答えられるかということについてです。

 

日本でも、もちろんどこかの党の考え方を支持している方もいますが、アメリカの場合はだいたい民主党共和党に分かれます。

 

で、政党によって考え方が違います。

 

今回の実験では、銃規制によって犯罪率がどう変わったかということについてのデータを両方の支持者に見せるのですが、普通に考えればどちらも同じ答えにたどり着くはずですよね。

 

ですが、・・・

 

自分の信念で簡単な計算ですら事実を歪めてしまうのか?

イェール大学のダンカハンたちは、自分の政治的信念とは関係なく正しくデータを読みとれるかどうかを調べた。

 

実験では、銃規制を題材にして、地元の自治体が公共の場での銃器の規制を禁止すべきか検討しているところを伝えた。

 

ただし、それが犯罪率の増加あるいは減少につながるかは定かではないために、こうした規制を導入した自治体と導入していない自治体、そしてそれぞれの過去1年の犯罪率の変化を調べてほしいと、参加者たちに伝えた。

 

  犯罪が減少した都市の数 犯罪が増加した都市の数
公共の場での銃器携帯を禁止した都市 223 75
公共の場での銃器携帯を禁止していない都市 107 21

 

さらに、研究者は参加者の標準的な計算力テストを実施したほか、政治信条に関する質問にも回答してもらった。

  

データは一見すると、銃規制を実施してある都市の多くで犯罪が減少したかのように見えるようになっていた。

 

ところが、正解を導き出すには、割合を考え出す必要があった。

 

銃規制を実施した都市の約25%で犯罪が増加しているのに対して、銃規制を実施していない都市はその割合が16%にとどまった。

 

つまり、銃規制の効果は発揮されていないというのが答えだった。

 

その結果、計算能力が高く、もともと銃規制に反対する共和党の支持者に限られた。

 

一方で、リベラルな民主党支持者の場合は、知能に関係なく、参加者は計算などせずに「銃規制は効果があった」という間違った印象を受け入れる傾向が強かった。

 

また、研究者はこれを逆のやり方でも実験を行った。

 

つまり、銃規制は効果があったという内容に変えた。

 

その結果、正しい答えを導き出せたのは数字に強い民主党の支持者だった。

 

一方で、最も数字に強い共和党の支持者でも判断を誤った。

 

全体として、数字に強い参加者は、データが自らの期待に沿っている時の方がそうではない時より正しくデータを読み取れる割合が45%高かった。

 

つまり、知能に関係なく、政治的信念みたいなアイデンティティが判断を歪めてしまうようですね。

 

ちょっと一言

つまり、自分にとって良いデータだと正しく答えられ、都合が悪いデータだと簡単に間違えてしまうのです。

 

これは別に政治的信念に限った話ではありません。

 

例えば、毎日ビールを飲んでいる人は「ビールはタバコより健康に悪くない」なんて思っている人がいれば同じようなことが起こるのです。

 

こうならないようにするためには満遍なく勉強する以外にないです。

 

もちろん、好きなものはあっても良いですが、ちょくちょく今まで興味がなかった分野を知ることで誤った判断をする可能性はそれだけ減ると思います。

 

これは人生にとって大きいことです。

 

なぜなら、常に人間は選択に迫られているからです。

 

選択をする時に色んなことを知っていれば合理的な判断がしやすいので、人生が好転しやすくなる可能性も高まります。

 

ですので、とりあえず今気になっていることをリスト化して、片っ端から手を出してみるといいと思います。

 

飽きたら次のをやればいいので。

 

参考文献

motivated numeracy and enlightened self-government